ソー活のイマ。就活マーケティングはあり得るか。

週刊?!イザワの目

2014/03/18週刊?!イザワの目

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ソー活元年と言われたのが、2011年から2012年にかけて。ソーシャルメディアの「ソ」と双方向の「双」の頭文字をとって、2013年卒の就職戦線はそう評されましたが、就活生をとりまく環境はどう変わったのでしょうか。また、受験マーケティングのような市場は、就活にあるのでしょうか。掲載社数・会員登録数でNo.1の就職情報サイト、マイナビの編集長、三上隆次(みかみ たかし)さんに話を聞きました。

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「ここ2年で、明らかな売り手市場になりました」と三上編集長。アベノミクスの影響で、企業の採用意向が上向きになり、その水準はリーマンショック以前に戻ったという。12月1日付でマイナビの掲載企業数を比較すると、今年度、つまり2013年度(2015年卒)は、2012年度(2014年卒)の3900社増。さらにその前、2011年度(2013年卒)と比較したら約5000社増加している。多くの企業が新卒採用に非常に前向きになっている証しだ。この環境を学生はどう受け止めているのだろうか。

「就職環境が良くなり、一つ上の2014年卒の先輩の就職状況もそれなりに良かったのを見ているせいか、2015年卒の就活生は非常にのんびりしている」というのが三上編集長の実感。大学が主催している就活セミナーの出席率も落ちているそうで、あくせく前に出てやらなくてもそのうち決まるだろうという姿勢が垣間見られる。

そんな彼らのメインの情報収集ツールはスマホ。就職情報サイトのエントリーは、夜はパソコンがメインだが、昼間はスマホでの説明会予約やエントリーが主で、その比率は、今年特に上がっているという。スマホで見ている主な情報源は、就職情報サイト、企業のWEBサイト、そしてソーシャルメディア。しかし、そのソーシャルメディアの使い方は2011年とはどうも異なるようだ。

ソー活元年と言われた2011年は、企業の採用開始時期が大学3年の10月から12月に変わった最初の年であったため、多くの就活生は、少しでも企業の情報が欲しいと焦る気持ちから、当時、注目を集めはじめていたソーシャルメディアを積極的に取り入れた。当時、電通PRが発表した調査(2012年1月実施)によると、約7割(66.0%)の学生が、開始時期の遅れに対して「漠然とした不安や焦り」を抱いていると同時に、約半数(47.3%)の学生が就職活動になんらかのソーシャルメディアを活用していたことが明らかになっている。しかし、電通PRの今年の調査(2014年1月実施)によると、就職活動の一環としてなんらかのソーシャルメディアを活用していると回答した学生は、18.0%にまで落ち込んでいる。

「就活におけるソーシャルメディアの利用は、年々減ってきています。当社の調査でもそうです。企業のアカウントを見ての情報収集はしたいけれど、自分の情報は知られたくないと考える学生が増えてきているのもひとつの要因だと思います。もちろん、友達間での情報交換という意味では使われていますけどね」と三上編集長。2013年は、学生がアルバイト勤務中に、冷蔵庫に入るなどの悪ふざけ写真をソーシャルメディアに投稿するという行為が相次いだ。就職活動中はソーシャルメディアの利用を極力避けようとする動きの背景にはこういった事件の影響もあると考えられる。「ある程度の採用プロセスが進み、内定を出すタイミングくらいになったら、企業もソーシャルメディアの存在を意識すると思います。もちろん、気になったら見てみる、程度のネガティブチェックだとは思いますが。就活生のほうもそれを見越して、へんな写真を載せるのはやめよう、下手な情報発信はやめようという意識が働いていると思います」というのも納得できる。

ソー活が下火になってきているのには、別の理由もある。「2011年のソー活元年で、ソーシャルメディアを採用活動に導入しようとする企業もあったが、うまく活用できている例は少なく、まだ使いこなせていないという印象。採用イベントはクローズドでやりたい、という希望もあり、オープンソースであるSNSが使いにくいという声もよく聞きます。大手の企業では、会員制の専用サイトを作ってそこで学生と個別にやりとりしているケースもあります」とのこと。さまざまな情報がオープンになっていることで、企業側も炎上を危惧するという、ソーシャルであるが故の不便さもあるようだ。もうソー活は成立しないのだろうか。

「銀行などの一部の大手企業ではまだ積極的に使っていますし、グループ機能などを使って、採用後の内定者のフォローや囲い込みにも使えると思います。またメディア環境や採用環境の変化が起きれば、状況は変わるかもしれません」と三上編集長。そう、まだまだ過渡期なのだ。

maynabi4.png大きな市場である就活。今後、就活生は、企業のマーケティングターゲットになり得るのだろうか。似たようなターゲットとして、受験生がいる。受験生の場合は、「センター試験」という絶好のPRタイミングがあるので、PRにもマーケティングにも活用しやすいが、就活生の場合はセンター試験のような共通試験の存在はなく、選考期間やタイミングがバラバラで、ややPR的には仕掛けづらい。しかし三上編集長は、十分な可能性を秘めていると話す。「マイナビでも、就職セミナーを神社で開催したり、エントリーシートが通りやすいペンをつけた就職ガイドブックを発売したりしていますが、約70万人の市場なので、可能性は十分にあります。次の大きな変化は来年。2016年卒からは、採用広報開始時期が3年の12月から翌年3月へ、選考開始時期が4年生の4月から8月になるので、市場や学生の意識がまたガラリと変わると思います」。2011年に3年生の10月から12月に採用広報開始時期が変わった時も、メディアはこぞって就活戦線を取り上げた。そういう意味では来年、2015年の3月、8月はひとつのPRチャンスといえる。企業は自社の採用活動という点だけでなく、マーケティングの観点からも就活生に熱い視線を注ぐことができるだろう。企業も学生も、変化する環境に流されず、それをうまく活用し、お互いのベストマッチングを目指したい。

~三上編集長から 就活生のみなさんへ~

一部の大手商社やマスコミなどの超人気企業は辞退者も少ないので1回の選考で採用を終わらせることができるけれど、大半の企業はそうではありません。だから4月の中旬になってどこからも内定が出ていないからといって、焦る必要はありません。その時点でもまだまだたくさん求人情報はあるのです。

今は情報が溢れているので、逆に自分が見たいものしか見ない、会いたい人にしか会わない、という効率化が進みすぎてしまっています。私が言うのもなんですが、マイナビなどの就職情報サイトだけで、自分で条件をかけて検索した企業しか見ない、というのでは、出会いに限りがあります。ぜひ合同企業説明会などにも足を運んでください。希望していた企業のブースが満席だったので、隣のブースに入ってみたら、実は興味の持てる企業だった、なんていう偶然の出会いもあります。直接人の話を聞いて活動する、という視点を忘れずに頑張ってください。

(原稿:イザワ)

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2011年10月20日創刊。
電通PRの若手社員による、電通本社および電通グループを対象に配信しているメールマガジン。2012年11月に全面リニューアルを果たし、現在は瓦版スタイルで発行中。国内外の旬なPR事例を取り上げて解説する特集や、旬な人のインタビューが人気。2014年3月、満を持してマイクロサイトに登場! オリジナルコンテンツなどもアップしていきます。

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